「生協の白石さん」は平成のジャンプ放送局だ

 

あなたはジャンプ放送局をご存知でしょうか。ジャンプ放送局とは、週刊少年ジャンプの黄金時代に掲載されていた巻末のコーナーです。内容は、様々なお題に対して読者が回答していくという、大喜利みたいな感じですね。

本書、「生協の白石さん」は、東京農工大生の投げかけるお題に対して、ハガキ職人の白石さんが全力で大喜利するやりとりを描いた作品である。ただし全てのお題に対して大喜利しているわけではなく、もちろん普通の質問に対しては普通に回答しています。

大学生が生協の購買部に対してする質問は、当然、まともな質問だけではありません。中にはふざけたものであったり、人生の悩み事であったりします。ここでいわゆる普通の真面目な職員であれば、無視することでしょう。もしくはユーモアがわからない職員であれば、学生に対して怒ったり注意したりする方もいるでしょう。

でも生協の白石さんは一味違いました。生協の白石さんは、包容力があったのです。まず第一に、白石さんは学生のコメントを否定しません。まず受け止めるのです。生協の白石さんがブレイクしたポイントは、大喜利のうまさや、切り返しの巧みさではなく、この学生の抱えている悩みをすべて一旦受け入れてくれる包容力の大きさがポイントだったと思うんですよね。

恋に破れた学生、親元を離れ始めて一人暮らしをする学生、新しい環境で戸惑う学生など、様々なバックボーンを抱えた学生に対して、どんな時でも白石さんは優しいですよね。やさしさって大切ですよね。

この本の初版は2005年。当時はとても画期的な本で、ぼくもとても面白く読んだ記憶があります。 2017年の現在では、ハガキ職人が己の腕を発揮する場は、ネット掲示板やツイッター上へと移り変わっていきました。

インターネットの普及により、投稿にかかるコストが劇的に下がったことで、秀逸なコンテンツが可視化されやすくなりました。半面、スマホなどインターネット常時接続のモバイル端末が普及しすぎたことで、質の低い投稿も激増しました。そして、いわゆる炎上という現象がネットから生まれました。

ぼくは思うんですよね。端末に文字を打ち込んでネットに配信する直前に、その投稿に優しさがあるかなって、いちど立ち止まって確認してほしいんです。もしみんなに、生協の白石さんのような優しさが残っていないのであれば、ネット上に書き込みするときには、少額でいいので課金すればいいと思うんですよね。

Twitterでどなたかも書いていましたが、わざわざお金を払ってまで悪口を書きたい人って、やっぱりそんなに多くはなくて、どうしても一言物申したい人だけがお金を払ってまでつぶやくと思うんです。そうすればネットでの議論も、もうちょっとお上品になったり、意味のあるものになったりすると思うんですよね。